症状
指の付け根(手のひら側)に痛みや圧痛、腫れや熱感が出ることがあります。
指を曲げた状態から伸ばすとき、「ひっかかり」を感じたり、無理に伸ばすと“ばね”のように急に戻る感覚が起こります。進行すると、伸ばした状態から曲げにくくなる、または逆に曲がったまま戻らないような状態になることがあります。指の付け根あたりに、腱や腱鞘の肥厚・腫れによりしこりのように触れることがあります。多くの場合、朝の起床時に症状が強いことがあり、日中に指を使ううちに多少改善するケースもあります。
症状の現れ方や強さは個人差があり、軽度の場合は違和感程度で済むこともありますが、放置すると日常生活に支障を来すことがあります。
原因・発症メカニズム
原因
指を頻繁に使う作業や動作(パソコン、スマートフォン、細かい手作業、楽器演奏など)が負担になることがあります。腱や腱鞘の変性・摩耗が進むことで滑らかな動きが損なわれやすくなります。女性に多く、特に妊娠・出産期、更年期などホルモンバランスが変動する時期に発症しやすい傾向があります。全身的な代謝異常・炎症傾向のある病気を持つ人に発症頻度が高いという報告があります。腱鞘や腱への物理的なダメージが契機になることもあるとされます。これら複数の因子が重なって発症に至るケースが多いと考えられます。
発症メカニズム
指を曲げる腱(屈筋腱)が、腱鞘という“トンネル”構造を通って動く際に、摩擦や狭窄が起こると、腱・腱鞘の炎症や肥厚が起こります。特に、A1 滑車(腱鞘部分の一部)が、屈筋腱の通過部として負荷を受けやすく、ここで狭窄が起こりやすいとされます。
炎症→肥厚→通過障害という悪循環により、腱が引っかかるようになり、ばね現象が現れることがあります。
当院での治療
保存療法(非手術的治療)
比較的初期から中等度の症状に対してまず試みられる方法です。
1. 安静・負荷軽減
• 指を使う負荷を減らす、過度な動作を控えることが基本となります。
• テーピング・副子(添え木)などで指の過度な動きを制限することもあります。
2. 外用薬/内服薬
• 痛みや炎症がある場合には、湿布・塗り薬(消炎鎮痛薬)を使うことがあります。
• 内服の痛み止めのみでは効果が限定されることも多いです。
3. 腱鞘内ステロイド注射(局所注射)
• 症状が強い場合や、引っかかり・痛みが続く場合には、腱鞘内にステロイドを注射を行います。
• 多くの場合、この注射により症状が改善し、3か月以上無症状となるケースもありますが、再発することもあります。
4. リハビリ・ストレッチ・運動療法
• 炎症が落ち着いた段階では、腱・腱鞘の柔軟性を維持する目的でストレッチや指の運動を行います。
5. 温冷療法・温め・冷やす
• 発症初期・炎症期にはアイシング(冷却)が選ばれることがあります。
• 炎症が落ち着いた後やこわばりがあれば、温めることで血行を改善し、組織の柔軟性を高める方法を採る場合もあります。
保存療法は、軽~中等度の症状であればかなり有効なことが多いですが、改善しない場合や再発を繰り返す場合には手術が選択されます。
手術療法
エコーガイド下腱鞘切開手術
• 当院では2mm程度皮膚切開し特殊なナイフを挿入しエコーガイド下に腱鞘を切開します。2日後には 水で手を洗えます。(従来の手術は皮膚の切開が約1.5cmで、皮膚を縫合するため1週間以上は水を使う作業や入浴ができませんでした)。
• 日帰り手術で、局所麻酔で行います。
手術後の予後は比較的良好で、指の弾発現象は改善します。手術後は腫れたり痛みが残ることがあるのでアイシングすることを勧めます。痛みのため指を動かせない方はリハビリをしていただきます。